2013年7月11日木曜日

アベノミクス3本目の矢である成長戦略について、JETRO主催のセッションに参加してきた。ゲストは竹中平蔵先生、伊藤元重先生、そして西村内閣府副大臣。アベノミクスの中核を担う豪華なメンバーで、300席用意されていた会場は満席だ。

会場には、知っているヘッジファンド関係者や証券会社の顔がある。(どうやら投資家向けのセッションだったみたいだ。)カメラが何台もあり、メディアも多数来ている。先日会った元同僚の債券トレーダーは、日本の債券市場はもはや壊れていると表現していたが、株式及び債券市場において引き続き日本への注目度は高いのだろう。



先ずは西村副大臣が、女性の社会進出促進、国家戦略特区、産業競争力強化等についてパワポで説明を始めた。原稿を読み上げているのが残念だったが、語気を強め気持ちが入っているのが分かる。

印象的だったのは、「今回のアベノミクスは、日本経済が復活できる最後のチャンスだと思っている。」という発言。官邸中心に一丸となって改革を断行していく決意を感じた。


続いて、竹中先生、伊藤先生、西村副大臣らのパネル。インターン先ファンドの会長がモデレータだ。印象的だったのは、竹中先生が言っていた「TINA(There is no alternative.)」。サッチャー氏が使っていたフレーズらしい。僕は、今回のアベノミクスしか日本に解決策は残されておらず、そこにフルコミットするという意思表明だったと解釈した。

竹中先生と伊藤先生のスピーチ、そして英語は上手かった。(僕がこう言うのも恐縮なのですが爆)ユーモアを交え、抑揚をつけて、論理的且つ簡潔に述べている。会場の反応も良かったと思う。聞いていてとても面白かった。国際会議等に数多く参加し磨いてきたのかな、と勝手に想像してみる。伊藤先生は今日フランスの会議から飛んできたと言っていた。


Q&Aでは、香港の日系スーパー大手会長から「日本はまだ全くMiserableでないのに、なぜ改革が必要なのですか?」という面白い質問が出た。20年前から日本を訪れた友人に聞いているが、彼らからはいつも「日本は素晴らしい国だった。」と返事が来ると。

それに対して竹中先生は、フランスとアルゼンチンの一人当たりGDPが戦後と数十年後で大きく逆転したことを例に挙げた上で、「子供や孫世代の為に今改革を実行している。」と回答した。後世の為に、今日本の景色を変える改革をしているのだと。



実は、今回の講演で僕が注視していたのは、各登壇者の発言内容ではない(笑)。 というのも、前日夜に竹中先生や伊藤先生のアベノミクスに関する最新記事や講演を予習して、発言内容をある程度予測していたこと。そして報道陣がいる前だと、これまでに出ている以外の情報は出ないだろうと思ったからだ。

では何を注視していたかと言うと、各登壇者の振る舞いだ。もっと言うと、プレゼンの仕方だ。

特に上手かったのは竹中先生だと思う。理由は、①重要な数値とファクトを簡潔に示して説得力を増していた。 ②一番最初のつかみ、発言中もユーモアを混ぜ、会場を飽きさせない。 だ。これに加えて、西村副大臣の ③気持ちを込めて話す。 がポイントだと感じた。


セッションの最後は、会長が「第一・第二の矢の実行はお見事。肝心の第三の矢が断行されることを期待・応援しております。」と発言して終えた。僕はビジネススクール中・後の自分が進む道と、第三の矢の行方を重ねつつ、前向きな気持ちを持って会場を後にした。

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